人事評価は社員満足度が低いのか!?

人事制度構築士 吉田幹生
(榎本あつし先生主催認定コンサルタント)

社員が不満に感じている、社員の声は次のようなものです。

「ちゃんと見てくれていない」
「評価結果の説明がない」
「目標を低くした方が得だ」
「上司の評価する能力が低い」
「なぜ〇〇の方が評価が高いのか」
などなど

そして、「自分の評価が低い人はほぼ不満」となります。
ある意味当然かも知れません。低い評価を受けた人が「素晴らしい制度だ」なんて思うことはありません。

社員の満足度を高めるために導入した制度が、逆に不満の要素を作ってしまいます。

人事評価制度がない会社でもうまくいっている!?

まだ人事評価制度がないという会社はたくさんあります。
人事制度がなくても、うまくいっている会社はたくさんあります。

社員が増えてきて、そろそろ導入時期かな、という感じで人事評価制度を取り入れたとたん、社員から不平不満がたくさん出るということはよくあります。
社長にしてみれば、社員の満足度を高めるために実施したはずなのに、これなら導入しないほうがよかった…なんてことも本当に多いです。

社長が鉛筆をなめなめで社員の給与や賞与を決める…一見、理不尽で横暴なような気もしますが、だからといって社員は(グチは言いながらも)辞めることなく案外、前向きに働いているものです。

その理由があります。事実として中小企業ならではの鉛筆なめなめ方式は案外うまくいくのです。
そして、その要素を取り入れたのが「A4一枚評価制度」なのです。

「A4一枚評価制度」は「えこひいき」「一点突破」「一丸」「理不尽さ」という、中小企業の経営者の考えを持った特徴があります。

人事評価を行う目的は何か

人事評価を行うことの目的と、もたらす効果についてです。次にあげる5つは「一般的な」人事評価の目的と言われます。

① 処遇(給与・賞与や昇給・降格など)を客観的に決める
社長が勝手に決めるのではなく、客観的な指標や基準に従って給与や賞与などの待遇を決めることです。

② 動機づけを図る(モチベーションを上げる)
「人参をぶら下げる」ことではなく、頑張ったことを評価されることや、自己成長や成功体験を積むことで起こる「動機づけ」です。

③ 会社の方向性を伝える
会社の理念やビジョンや目指していることを、制度を通して明文化し、全社員に伝えていくことです。「ベクトルを同じにする」

④ 人材育成(成長)につなげる
評価によりその人のできることとできないことが明確になり、研修や教育によりできるようになってもらう。「人材育成」が人事評価のもたらす大きな効果になります。

⑤ 業績向上(組織の目標を達成する)
他の4つの目的をしっかりと実現することにより成果を出してもらい、能力を向上させ、動機づけを図って、会社が掲げる目標に近づくという目的です。
全社員で同じ目標をもったほうがわかりやすいです。

あなたの会社は何のために導入するのか!

そろそろ人事評価制度導入しようかと考えたときに、よく考えていただきたいことがあります。
上記の一般的な人事評価の目的ではなく、御社(経営者)がなぜ人事制度を導入するのかという目的です。

人事評価制度はあくまでも手段であり、ツールです。これを使って何を実現したいのか、その目的をはっきりするのが一番大事です。

なぜこの昇給になったかきちんと説明したい。社員の納得感を高めたい。業績をあげたい。社員に成長してもらいたい。
いろいろと考えられると思いますが、経営者が「自社はこのような目的のために人事評価を導入します」と自信を持って社員に浸透していくことが重要です。