人は感情で揉めると収まりがつかなくなる

たまにお客様から電話があり、「何人か辞めてもらう必要がある。売上が下がって、人が余っている」などという相談があります。
そんなとき、そのリストラ対象者の背景を聞くようにしています。

その人の年齢は? 男性なのか女性なのか? 結婚しているのか? 結婚している場合は配偶者の職業は? 扶養はいるのか? 子供は何歳か?などなどです。
法律面でリストラをする場合、正社員なら答えは同じかもしれませんが、やはり、その対象者によりその対応が大きく変わってくると考えています。

例えば、年齢50歳の女性、シングルマザーで子供が高校生である場合はどうでしょうか?
退職したらその後の生活はどうなるのか、想像してみてください。
再就職はどうなのか? その方の専門性が高くて、再就職は心配ない。給与も同程度保証されるような方であれば心配ないかもしれません。
ただ、多くの方が子供にお金がかかる。生活が困窮するのでは、と想像ができます。

その一方、年齢50歳の女性で、配偶者が公務員で生活が安定していて、子供も全員就職して扶養がいないケースではどうでしょうか?
生活面では大きな心配はいらないと想像できます。

前者の方をリストラ対象にしてしまうと、大きく揉める可能性が生じます。
その際はなるべく、妥協できる案がないか探ります。部署異動や再就職先の斡旋、給与や賞与の見直しなど。

人は感情で揉めるとなかなか収まりがつきません。なるべく、経営者が大きな問題や大きな恨みを買わないよう、社員の気持ちも考え、アドバイスするように心掛けています。

また、採用の件で休日について質問をいただくケースが増えてきました。
現在の問題点として、休日数が少ないとなかなか応募がありません。特に若い人の採用で大きな課題となっています。

最近の相談事例です。その会社の年間休日数は95日でした。
私はその時、年間休日をまずは100日にしましょう!というアドバイスを行いました。
理由ははっきり分かりません。ある意味、印象です。

例えばスーパーのチラシで298円や980円という価格が多いですよね。
なぜ300円や1000円にしないのでしょうか? やはり、これも印象ではないでしょうか。
大きな差はないが高く感じてしまうということです。

休日数も95日と100日と比較した場合、大きく増えてはいません。応募がくるとはいえませんが、印象が大きく変わります。
休日数を一気に増やすと、在籍する社員にも影響しますから、会社の戦力が大幅に低下してしまいます。
まずは求人を出した場合に、最低限の求職者が選ぶ段階でその土俵に乗ることが大切です。

可能な限り、今後会社の体質を強くして、方向性として休日を増やせる体制をとっていければと考えています。

これもある意味、心理学ではないかと思います。

初任給も社員の気持ちを考えて

求人に関して、初任給の問題もあります。
競合する会社の求人票に載っている初任給が自社より高いから、いま出している初任給を上げたい。
これはよいことだと思います。初任給は法律上、最低賃金を上回っていたら出せます。

ただし、気をつけることがあります。
同じ仕事内容で在籍している社員より高くなると、大きな問題です。
もしかすると初任給を上げて採用ができたとしても、また求人票を出す必要が出てくるかもしれません。なぜか、給与の逆転現象が生じてしまい、元からいる社員が退職する可能性が出てくるからです。
経験も自分のほうが長いのに、なぜ指導している自分のほうが給与が低いのかという不満が生じるからです。

採用できたとしても、退職者が出てしまったら何をやっているのか分かりません。採用できたとしても大きな戦力ダウンになります。

やはり、ライバル会社の動向も重要ですが、社員の気持ちを考える必要があります。